ずっと貴方を想っています。
軽く誘ってみると、案外やってみたかったようで。
平仮名は読めるので、漢字の部分だけ振り仮名が振ってあるプリントを渡す。
私たちが使うのは「外郎売」というタイトルのもの。
舞台のイメージは江戸時代、そのせいで少し読みにくいものも存在するけれど、アランは大丈夫かな?
先輩の一声で、空気は一気に締まる。
「よし!じゃあ...なずなちゃんから読み始めてくれるかな?」
「はい!」
「よーい、」
パンッと先輩が手を鳴らすと始まる。
「拙者、親方と申すは!」
「お立合いのうちに、ご存知の御方もござりましょうが!」
「欄干橋虎屋藤右衛門、」
「ただいまは剃髪致して、円斎と名乗りまする」
...多分アラン、1ミリ、いや、1ミクロも理解出来ていないんだろうなぁ。
日本が好きだといっても、流石に歴史まで勉強できていないだろうし。