だから何ですか?Ⅱ【Memory】



だって、俺とのこういう事妄想してたとか。


いや、俺だって確かに亜豆とこんなムードになって肩透かしだった時とかは妄想もしたかもだけど。


だから、亜豆からされてもそれは確かに同じ条件なんだけども。


でも・・・なんて言うか、未だかつてそれを宣言された事なんかないから無性に恥ずかしいやら嬉しいやら。


そんな葛藤に満ちていれば、俺の緩いアイアンクロウを解いた亜豆がヒョコっと覗き込んで様子を伺い。



「言っておきますが、その妄想しての一人プレイはしてませんからね?」


「あっ、・・・そうなの?」


「はい、健全な脳内妄想です」


「それは健全なのか?」


「健全でしょう。だから、リアルではしっかり本物に満たしてもらいます」



『ねっ』と覗き込んで確認と念押し。


にっこり笑って唇を啄んでくる亜豆には完敗と言うのか。


脱力だと苦笑いでキスを受け止め、細身の体を抱き寄せると息を吐く。



「俺、もう絶対に亜豆のせいで女性観おかしい」


「フフッ、そうなんですか?」


「仮に亜豆と別れても次に恋愛できる気がしねぇ」


「別れる気はありませんが、私には朗報ですね」


「本当未知との遭遇」


「『運命の出会いだった』と解釈しておきます」


「都合よし」


「言ったでしょう?『恋する女の頭は都合よしなものです』と」



ああ、もう、亜豆様の解釈でいいですよ。


それが一番的確な模範解答としておくよ。


何を言ったってどうせ言い返される気がする。


それに悔しいと思うのに、どうしてか嬉しいと思う自分がいるんだから仕方ない。


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