だから何ですか?Ⅱ【Memory】
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「えっ・・・・」
一瞬頭に浮かんでたデザイン案とか企画案とか全部飛んで真っ白になったような気がした。
その位に衝撃的で予想外で予定外で。
嘘だろ?と驚愕の表情の中に鮮明に浮かんでいたらしく、それでも願い儚く目の前の部長が現実だと重苦しい息を吐く。
「残念ながら、もう今回は別の会社に決定したらしいんだ。営業サイドも『もう一度検討を』と食い下がったらしいんだけどね」
「本当に・・・不採用・・・」
「まぁ、伊万里の仕事での不採用は珍しいし、正直俺もあのポスター案は上出来だったと思う。だけど、プレゼンに上がった別の案には及ばなかったらしい」
「そう・・・ですか」
「大手の新商品だったしな。痛手と言えば痛手だが・・・お前の仕事の出来に不備はない。まぁ・・・切り替えて他の仕事に励め」
「はい・・・、力が及びませんで申し訳ありませんでした」
落胆は見えても叱責はない。
よくやったのだとむしろ労わられて、慰めるようにポンポンと腕を軽い力で叩かれる。
俺と言えばいまだどこか噴抜けた感じで、上手く現実を受け止められない感覚のまま立っていた部長のデスクの前からふらりと向きをフロアに向けた。