だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「・・・お疲れ様です」
心底驚きを見せた俺とは対照的。
相変わらずクール&ドライな秘書課の亜豆さんは今日も健在らしく、無表情でこちらを見つめながら一服。
そんな対応に一瞬『あれ?つきあってるよな?』と自分達の関係を疑いたくなるほどだ。
まぁ、疑うことなくつきあってるけど。
「お前・・・来たなら声かけるとかしろよ。何息顰めて気配消してんの?」
「いや、至って普通に来て煙草吸ってましたが?むしろ気がつかなかった伊万里さんの方が平常でなかったのだと思います」
「まぁ・・・そうだろうけど」
「HPが限りなく0って感じですね。何かありました?」
「珍しい。秘書課の亜豆さんが、俺のストーカーの亜豆さんがこのビッグニュースをご存知ないですか?」
「朝からつい先ほどまで社外勤務でしたので」
フーッと吸った煙草の紫煙を噴き出す姿はクール。
本当に言葉のままに俺の現状を気にかけているのか?、と疑問さえ抱きそうな程情を映さないその姿に苦笑いで柵から離れて足を向ける。