だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「・・・お前って、本当会社では無表情っていうか無感情って言うか。何にも興味ありませんって感じだよな」
「そうですか?がっつり興味示してるじゃないですか伊万里さんに」
「いや、まぁ、それは嬉しい限りでよく知ってる。そうじゃなくて、俺以外の人間とか出来事とか、」
「ああ、然程興味ないですね。仕事の上で必要な情報や交流であれば最低限関わりますが、それ以外で特別関わりたいと思わないので」
「同じの部署のお姉さま方とは?」
「まぁ、そこは程々に深からず浅からず程よく関係は良好ですよ。今も散々弄られてからの一服タイムです」
「ふぅん」
こいつもコミュ障ってやつなのかな。
社交的ではないんだな。なんてことを思いながらもそれに引くでもない。
自分も内向的ではないにしても社交的とは言いにくい生き物だから、むしろ親近感が湧いて居心地がいいなんて薄ら思っていたタイミング。
「で?」
「ん?」
「何を項垂れて呆けていたんですか?」
「ああ。それ聞いちゃう?」
「むしろ聞いてほしかったんでしょう?ストーカーだのビッグニュースだの煽っておいて」
「・・・・・六花化粧品のプレゼン不採用になった」
「・・・・・訂正。HPはマイナスですね」
「もう、本当マイナスもマイナスだよ。本当、テンションもモチベーションも在庫切れのすっからかんだよ」
はぁっと何度目かの溜め息をついて、今にも項垂れそうな頭を片手で支える。
さすがに無表情から『衝撃』という驚愕に切り替えこちらに視線を動かした亜豆が、俺と同じタイミングで息を吐いて煙草の灰を落とした。