だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「今夜飲みに行きます?残念会目的で」
「介抱大変だぞぉ?俺超やけ酒するぞ?浴びる程飲むぞ?」
「構いませんよ。単に私が名目つけてコレ都合よしとデートに誘ってるだけですから」
「っ・・・・」
あ、俺ってアホ程単純かもしれない。
さすがに全回復とは言わないけれど、亜豆の持ち上げ上手にまんまと気分が浮上した。
こうしてつきあって程よく関係は深まっているけれど、天然無自覚様は健在。
いつだって予告なしにそれを発揮して、困らせることもあるけれどこうして突如として気分を上げてくれることもある。
うっかり上がりかけた口の端を誤魔化すように手に持っていた煙草を口に運んで、込み上げた歓喜とニコチンの同時摂取。
ああ、でも、飲みこみきれねぇ。
「チッ・・・いちいち誘惑すんな、」
「フッ・・・誘惑するのもされるのも伊万里さんだけですけどね」
「食いつくぞ?猫缶」
「あんまりがっつくと食べ飽きますよ?」
「飽きねぇよ」
アホか。と顔をしかめるのに口元は弧を描いて、片手で亜豆の頭を引き寄せると同じように弧を描いている唇に形を合わせるように重ねていく。