だから何ですか?Ⅱ【Memory】
そんな感覚に素直に止めていた足を動かしその人の横を通り抜けようとすれば、『おっと』と決して焦ってはいない口調で再び前を遮ってきたその人。
面倒・・・。
凡そこんな風に前を遮られる事は予想済みであった。
だからこそ対応もスムーズ。
前を遮られた瞬間にはくるりと向きを変えて今歩いてきた方へ。
別にこの人が遮っている道を行かずとも帰路につく事は出来るのだ。
そう思って体の向きを変えたというのに、今度は別の人間に通せんぼを食らって結局は足止め。
類は友を呼ぶとはよく言ったもの?
同じような生き物。
表面ばかりで友好的には感じられない笑みを顔にはっつけて、如何にも絡みますという様な雰囲気。
「こんな時間にな~にしてんの?」
「・・・・・」
「誰もいないしどこもやってないのにこんなとこいるって事は暇だよねぇ?」
「・・・・・」
「俺たちさぁ、ちょっと困ってんだよねぇ。お・か・ね。都合してくんない?」
「そうそう、財布の中身だけくれたらそれでいいからさ」
ニヤニヤと前方後方から鬱陶しい。
財布なんてそもそも持ち合わせていない。