だから何ですか?Ⅱ【Memory】
ふざけているつもりなんて全くないのに。
むしろ望むまま【有り金全て】を捧げたのに、その額が気にいらないと憤られても持っていないのだから仕方ない。
と、思っていても口から言葉を弾くでもなく、ただひたすらに気持ち悪いと眩暈すら感じる嫌悪に不動でいれば。
「何黙ってんだよ?馬鹿にしてんの?」
「300円って、これでお菓子でも買っておいで~ってか?ふざけんなよ?早く出せよ全部、」
胸座を掴まれ引き寄せられて、かなり一方的で無茶苦茶な難癖をつけられる。
それが全部であるというのに他に何を差し出せと言うのか。
それなのに更なる脅しの様に自分の横の壁を蹴りこみにまでくる。
正直そんな脅しには微塵も畏怖は感じないけれど、ただどんどんと嫌悪は増してそれに耐える様に眉根は寄り唇を噛みしめた。
「っ・・・」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
それ以上寄るな触るな私を認識するな。
もうその気持ちの悪さで男達の罵声の言葉などまともに理解はしていない。
何か不満を並べているな。という程度に耳に流れ込んで、とにかくこれ以上近づかないでくれとひたすらに思うのに悲鳴すら口からついて出てこない。
どうやって声を出すんだった?
そんなあり得ない疑問を抱いた時には目の前の男が私に手を振り上げていて、『あ、殴られる』とこんな時にも冷静に思考が働き歯を食いしばった。