だから何ですか?Ⅱ【Memory】
そんな自分の誤魔化しの様に不満を作り出して張り付けたのがいけなかったのか、不意に真顔で真面目に謝罪を口にしてきた亜豆には意表を突かれて一瞬呆け。
そのまま淡々と続けられる言葉にはさすがに待ったをかけてしどろもどろ。
結果、遠回しに言えば言うほど空回りそうだと理解して、クソッと髪を掻きむしった後に観念したように本音の打ち明け。
最後には精一杯の照れ隠しで『おらっ』とまったく力の入ってないアイアンクロウで締めてすぐに顔を横に背け・・・苦笑。
そんな俺の手をそっと外すと俺の顔を覗き込んでからようやくフッと笑みを見せてきた姿には愛らしいと気が緩む。
「どうも人肌恋しくなって」
「あのメールの数時間前にはがっつりその欲満たしてたと思うんだけどな」
「・・・『したい』と打っただけで具体的な内容はなかったと思うんですが?」
「おまっ・・・ここでそういう事言うか!?具体的な内容がないからこそ深読みして妙なテンションになるだろうが。しかも、それを肯定するみたく出勤早々デスクに山盛りのチョコレートだろ!?夜から朝から何でこんな強力に誘われてんだ!?って驚いたわ」
「・・・・発情期なんですかね?」
「お前・・・疑問形だけどそういう意味だって認めたな」
結局そういう意味の『したい』だったんじゃねぇか。と細めた目で突っ込んで、持っていた煙草を口に咥えライターを探してポケットを探る。