だから何ですか?Ⅱ【Memory】






「・・・・煽られて、」




狡い・・・だろ。


そんな心のボヤキに反応したようにゆっくりとこちらに絡んでくる視線にはドキリなのかクラリなのか・・・とにかく、逆上せた。


あー・・・と抑揚のない、限界を示す自分の声が自分の体の中でだけ反響したとほぼ同時。


甘い・・・。


チョコレートって・・・なんで溶けてる時の方が甘く感じるんだ?


そんな事を感じたのは、限界だとばかりに表情を歪めた亜豆が身を寄せ俺の頭を引き寄せ口づけてきた直後。


舌が絡めば当然口内で溶かされたチョコレートが絡みついてきて味蕾に甘さを強烈に与える。


お互いにチョコレートでは欲情する様に染みついているらしい。


唇が重なった瞬間には限界の突破で、拒むなんて選択しなく抱き寄せると食らいつき返すように口づけ酸素をも貪る。


誘った癖にこちらが攻めこめば途端に遅れをとって余裕がなくなる亜豆は最早煽りだ。


未だにキス一つで涙目になる姿には簡単に理性を壊される。


散らばった理性の欠片を溶かすのは・・・、



「__っはぁ・・んん__」



熱っぽい吐息と甘い声音。





理性の不在、


本能が果てしなく開放されると馬鹿になる。



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