だから何ですか?Ⅱ【Memory】
好き合ってるんだから問題ないだろう。と言われそうでもあるが、好きだからこそいい加減な事はすべきじゃないと思うし、出来る限り誠実でありたいし。
そんな事を思って息を吐きだし亜豆をギュッと抱きしめていると、俺の思考を読み取っているかのようにクスクスと耳元付近で小さく笑った音が鼓膜を擽り、改めて俺を『好き』だと告げてくる。
その響きにはさすがに落ちた心も浮上するから実に単純。
そんな俺を愛でる様に顔の至る場所にそっと口づけ食んでくる亜豆に絆され力も抜けた頃合い。
「伊万里さんは・・・可愛いですね」
「あんま、嬉しくねぇな」
「ついつい・・・守ってあげたくなるというか、」
「俺が守られるのかよ。今だって俺に散々泣かされたお前に?」
「物理的な力で守ろうってわけじゃないんですよ?私を守りたいと思っていても時と場合によってはどうしても私が優位な時があるじゃないですか。・・・ほら、海音君に水をぶっかけた時とか」
「ああ、あれね。アレは見物だった」
「きっと・・・まだまだそう言う場面はあると思うんです」
「恐い予言すんなよ。しかもタイミング的に不安を煽んな」
「・・・タイミング?」
「・・・三ケ月、」
「・・・・・ああ、」
明確に不安の形を音にして響かせれば、今思い出したように『ああ、』と何とも抑揚のない声音を響かせた亜豆。