だから何ですか?Ⅱ【Memory】






そんないくら抜いても終わらぬ草むしりに午前でくたびれ、午後には放置。


そして、20分の遅刻分を埋め合わせるようにPCに向き合っている現状は終業時間を過ぎて10分ほどか。



「正直・・・帰りてぇ・・・」


「自業自得じゃないですか」



これほど残業と言う時間が苦痛だと思った事はない。


むしろいつもなら残業大好きっ子だし俺。


だけども朝から予定外に体力消耗し、その後に噂の除去に徹した体はさすがに残業モードには入れないらしい。


残業もだけどもこの後の時間も。・・・なんて、素直な本心を口から零せば、すかさず鋭い突っ込みを横から入れられ苦笑いしか浮かばない。


やる気なく頬杖をついた状態でチラリと横に視線を動かせば、視界に映りこむのは帰り支度万全な小田の姿。


いつもより非難するような冷めた眼差しで、腕を組み見つめ下してくるのはワザとの姿だろう。


面白くない。と言いたげなあからさまな不満顔には苦笑いで頭を掻くと、



「女の子の嫉妬は恐いねぇ」


「噂通りに二股かけられてしまえ」


「恐っ、呪いかよ!?」


「はい、呪います。むしろ全力で白王子応援します」


「はっ?白・・何?」


「白王子です。伊万里さんのライバルと噂されてる金髪王子。それに伴って伊万里さんは黒王子って言われてますよ」


「っ・・・なんか嫌。すげぇ嫌」



ってか、白黒当てはめるっつーなら絶対にあっちの方が【黒】だろ!!


腹から頭から中身は完全なる黒だぞあいつ!!

< 206 / 380 >

この作品をシェア

pagetop