だから何ですか?Ⅱ【Memory】
そんないくら抜いても終わらぬ草むしりに午前でくたびれ、午後には放置。
そして、20分の遅刻分を埋め合わせるようにPCに向き合っている現状は終業時間を過ぎて10分ほどか。
「正直・・・帰りてぇ・・・」
「自業自得じゃないですか」
これほど残業と言う時間が苦痛だと思った事はない。
むしろいつもなら残業大好きっ子だし俺。
だけども朝から予定外に体力消耗し、その後に噂の除去に徹した体はさすがに残業モードには入れないらしい。
残業もだけどもこの後の時間も。・・・なんて、素直な本心を口から零せば、すかさず鋭い突っ込みを横から入れられ苦笑いしか浮かばない。
やる気なく頬杖をついた状態でチラリと横に視線を動かせば、視界に映りこむのは帰り支度万全な小田の姿。
いつもより非難するような冷めた眼差しで、腕を組み見つめ下してくるのはワザとの姿だろう。
面白くない。と言いたげなあからさまな不満顔には苦笑いで頭を掻くと、
「女の子の嫉妬は恐いねぇ」
「噂通りに二股かけられてしまえ」
「恐っ、呪いかよ!?」
「はい、呪います。むしろ全力で白王子応援します」
「はっ?白・・何?」
「白王子です。伊万里さんのライバルと噂されてる金髪王子。それに伴って伊万里さんは黒王子って言われてますよ」
「っ・・・なんか嫌。すげぇ嫌」
ってか、白黒当てはめるっつーなら絶対にあっちの方が【黒】だろ!!
腹から頭から中身は完全なる黒だぞあいつ!!