だから何ですか?Ⅱ【Memory】
急に得た浮遊感に戸惑ったのは一瞬。
すぐに今程吐いた原因と同じ理由で気持ち悪さがこみあげて、それでもこの抱えられた状態で吐いてしまえば確実にこの人に被害が及ぶ。
さすがにそんな失礼極まりない失態は犯せないと、口に手を当て堪える様に強張ったのが相手にも伝わっていたらしい。
「いい、いい、吐け吐け。堪えたら余計に辛いだろ。この時間そんな人もいねぇし俺の前じゃすでに吐いてんだ」
そんな言葉が聴覚から触れている体から響いて伝わってきて軽く呆けて吐き気も薄れた程。
えっと・・・何が言いたいんだろう?とキョトンと呆けながらも言葉の解釈をし、多分私が羞恥とかそんな理由で吐く事を我慢していると思われているのか。
「よしよーし、怖かったな」
いや、怖い怖くないで言えば恐くなかったんだけど。
「吐くほど怖かったか、」
むしろ、吐いたのはあなたの存在感で。
と、諸々口に出来ていたら確実に相手はショックなんだろうな。と思うから、現時点では言葉を発せない自分は好都合だと言うべきか。
それにこの人にしても物凄く労わりの感情込めた口調ではなく、淡々サラリと軽い感じ。
それにしても・・・やっぱりまだ少し気持ち悪い。
誰かに触れられていると言う嫌悪感は継続だけども、キャパオーバーな人口密度からは離れた現状。