だから何ですか?Ⅱ【Memory】
それに呆然と困惑している亜豆が、
「えっ・・な・・」
「約束だったろ?【解放】するって」
「っ〜〜〜意地悪っ!最低っ!騙されたっ!」
「心外なんだけど〜?なんも騙してないしな」
「だって、・・・だって、この流れなら普通、」
「するにしても『いつ』とは時間指定してない」
「っ〜〜〜」
「ああ、ほら、それに・・・仕事に戻る時間だ。仕事には遅れられないよなぁ?それに言ってなかったか?仕事をする俺が好きだって」
「意地悪!本当に意地悪です、伊万里さん!」
「フッ・・・俺を開き直させた【凛生】が悪い」
「っ〜〜〜」
そうだろ?と、クスクス笑う俺にひたすらに悔しげに見つめてくる亜豆が子供の様にパシンと背中を叩いてくる。
そんな反応すら楽しいと笑いながらエレベーターのボタンを押し直したそんなタイミング。
「・・・でも、やっぱり好き」
「フハッ・・・知ってる」
小さくぼやく様に弾かれた言葉に吹き出して、さすがにご褒美だと軽くチュッと口付けると、丁度開いたエレベーターに乗り込みんでリアルへの回帰。
エレベーター内で不貞腐れる亜豆の首に絆創膏を増やしたのは言うまでもない。