だから何ですか?Ⅱ【Memory】




「はい、菱塚広告社・秘書課 亜豆です」


『IS広告社・三ケ月です』


「お間違いですね。失礼します」


『リオの大切な物持っ・・___』



えっ、と思った時にはすでに遅し、自分の指先が繋がりたった瞬間で。


切られるのを分かった上で早口に告げられた言葉は危険だと分かるのに誘惑的すぎる。


数秒の葛藤。


・・・後、


『伊万里さん、ごめんなさい』と、誘惑に勝てなかった自分に呆れて詰りながら席を立った。


そのままフロアを抜け、携帯の着歴からミケの番号を拾うと電話をかける。


コール音を1回2か___



『フフッ、電話が嫌いなリオちゃん、どうした?話したい【理由と意味】があった?』


「本当に小狡い手を〜〜」


『何の事だろう?いいの?俺に電話なんてして?あのリオ大好き〜な彼氏の伊万里くんが怒っちゃうんじゃない?』



本当にミケもどこまでもミケでミケを貫いている。


どこまでもこちらを掌で転がしていると言うのか、伊万里さんの開き直りさえミケの狙い通りだったんじゃないだろうか?と、さえ思う。

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