だから何ですか?Ⅱ【Memory】
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どこまでも直向きな視線が欲しかった。
どこまでもブレる事のない忠誠にも近い好意が。
端から見ていてもまるでよそ見をしないリオの好意の当事者となったらどんな感覚なのか。
最初は興味本意。
少し甘く誘えば自ずと絆されその意識を自分へと変えてくれるのでは?と甘く見た。
結果、リオのどこまでも揺るがない恋心を思い知る事になり、・・・ミイラ取り。
そんな絶対に自分を見ない、伊万里 和しか見ていないストイックな彼女に恋をした。
自分を見てもらおうと努力もした、意識して。と、甘えて懐いて甘やかして。
その甲斐あって俺への警戒は無くなりその距離はギリギリの線まで隣り合ったと思う。
だけど、どうあっても、どんなに努力をしようと越えられない線があって。
どんなに安堵し甘えられる存在だろうと伊万里ではない。
伊万里か、そうじゃないか。
ストイックな彼女の狭い組み分けはどこまでも残酷だ。
どんなに欲しても、愛しても、伊万里でないという時点で彼女の一線は越えられない。
馬鹿だと分かっている。
どこまでも馬鹿だと。
でも馬鹿をしてまで・・・欲しかったんだ。