うそつき 2
教室がざわめいた。



みんなが見ている先は唯兎くんで。



え、1年生の間で有名人なの…?




「唯兎くん、推薦トップで入った上に頭いいからね。噂では、創立以来の秀才とか。


ここに入ってくる子は大体知ってるんじゃないかな。ファンも多いみたいだし」



ユキちゃんはそう私に耳打ちした。


なにそれ、聞いたことない…。



唯兎くんほんとにすごい人なんだ…。




「果乃〜?」



「い、今行きますっ!」




そう言ってカバンの中に配布されたプリントを押し込んで、唯兎くんの元へ急ぐ。




「お、お待たせしましたっ!」



「どうして急に敬語なの」



そう言って笑うと唯兎くんは私の手を取って歩き出す。



「ねぇ、唯兎くん。推薦入試1番だったの?」



「あー、うん。そうらしいよー」




なんだか、自分のことにはあまり執着しないみたいで曖昧にしかわからないみたい。
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