うそつき 2
だから、私のアップに付き合ってくれている。



「果乃ちゃん準備運動入念すぎでしょ〜」



「でも、最近走ってなかったし…足つったり、挫いたりしちゃったらダメだし、ね?」



そう言いつつ入念に足を伸ばす。



お姉ちゃんが一度捻挫して大会出られなかったことがあったから、よく注意されたものだ。



懐かしい。




私はレーンにつくとやよいちゃんのゆるーい合図とともに走り出す。



すぐにゴールを切って一直線に日陰に向かう。



一本走っただけでこのバテよう。



当日ほんとに過ごせるのかな…。




ちらっとグラウンドの奥の方を見る。



私が目を向けた方では2年生が綱引きの練習していた。




…いた。唯兎くんだ。




走るのが遅いから、っていう理由で今年も綱引きに選抜された唯兎くんは、女の子の中に紛れて遊んでいた。




むぅ…。みんな、近い…。



私の唯兎くんなのに…。
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