うそつき 2
唯兎くんは女の子にちょっかいを出されて笑っている。



ばーか。



浮気者。



マゾ。





いじわる…。




私は頬を膨らませて目をそらす。




私、どんどん悪い子になってる…。



ほんとに…悪い子だ。




「果乃ちゃ〜ん?そんなに拗ねちゃダメだよ?



一応、練習中なんだし、がまんがまん」




「やよいちゃん…すっごい今嫌な気分なの」




「そっか〜」




そういうと、やよいちゃんは私の横に座ってそれ以上何も言わずに、隣に座ってくれていた。




もう一度、唯兎くんの方をちらりと見てみる。



私は膝に顔を埋めて、目を瞑った。




私、ほんとに、悪い子だ。



すごく、今。



唯兎くんの隣で笑っているあの女の子が嫌いだ。



こけてしまったその女の子に手を伸ばす唯兎くんの良心にかまけて、横に並んでいる、あの女の子が。



なんで見ちゃったんだろう。



前なんか、向かなきゃよかった…。
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