うそつき 2
体操服を引っ張られて後ろに下がって行くイケメンさん。





「果乃は僕のだからね。絶対、誰にも渡さないよ?」





その言葉と同時に、私の後ろから手を回してきた。



知らないうちに座り込んでいる。




「ゆ、ゆいとくん?」



「なーに?」



「れ、練習は?」



「もうやめたー。



女の子、みんなすごい匂いするし。果乃が見えたし」




そう言って微笑むと、しゃがんでいた唯兎くんはぺたりと地面に座り込んでぎゅーっと抱きしめてくれた。




「ちょ、唯兎くん?」



「わ〜、ラブラブだ〜。邪魔者はたいさ〜ん」




そう言ってやよいちゃんはイケメンさんの体操服を掴んでずりずりと引きずって何処かに行ってしまった。




生ぬるい風が吹く。



少し、砂埃が舞って、私たちの間の沈黙は途切れた。




「ねぇ、果乃」



「なに…?」
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