うそつき 2
唯兎くんは焦ったように声を出す。




「果乃、ちょっと怒りすぎじゃない?」




「怒ってなんかない。



いつもは他の子の匂いなんてしないのに、最近はよくきつい匂いするよね。



そんなに仲良くして、私のことは気にしてくれないの?



それとも、イベントだから、少しぐらいならありだと思ってるの?」





…思ってもないことまで。




私はそこに居づらくなって、立ち上がって走り出す。




「果乃っ」




唯兎くんは走るのが遅い。



体力の戻りつつある私が走ったらついてこれるはずない。



案の定、唯兎くんはついてこれない。



私は体力が尽きるまで、遠くに走った。




気づいたら中庭まで来て居た。




誰も、居ない。




ここなら、泣いてもバレたりしない、か。




そう思うと、突然涙が溢れて来た。



次々溢れて来て、止まりそうにない。
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