うそつき 2
「果乃ちゃん、出番だよ」



「はーい」




100メートル走が始まると聞いて立ち上がった。



朝から、聞いてしまった。



唯兎くんが、同じクラスの佐々倉さんって子ととっても仲良くなっていると。



唯兎くんは、その子のことを好きになってしまったのかもしれない。



どうも、気分が上がらない。



そして、その佐々倉さんと言われる方はこの間、唯兎くんと綱引きをしていた子で。



さらに、100メートル走にも出場する、みたいで。



同じレースを走る唯一の陸上部。



やる気がなくなってしまった。




クラスの子に言ったら怒られるだろうか…。



怒られる、だろうな。うん。



頑張ろう。



…陸上部になんて、勝てないけど。




「果乃ちゃん、頑張って」



「ありがとう」




秋帆ちゃんは私に笑顔を向けてくれた。



勝たなきゃ…。



みんなが期待してくれてる。




それに。
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