うそつき 2
それに、その子に負けたくないもん。



やる気は出ないけど、そうやすやすと、唯兎くんを取られたくない。



だから、頑張って走り切るしかない。



生ぬるい風がグラウンドの砂を巻き上げた。




まだ、早い時期なのに、セミがちらほら鳴いている。



煩わしい。



私から唯兎くんを取ろうとする、あの子みたいに。




はぁ…。自分でもびっくりするくらい性格悪い。




私は100メートル走のレーンにつくと、ピストルの合図とともに走り出した。




横のレーンをちらりと見る。



ん?



これは佐々倉さんとどっこいどっこいなのでは?




なら、私にも勝ち目が…っ。




そう思ってゴールまで、全力疾走した────
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