うそつき 2
「唯兎くん、ごめんなさい…」



「ん?何かあった?大丈夫?」




唯兎くんはゆっくり私に近づいて、綺麗な右手で私の頬を包んだ。




「私、私…、唯兎くんは私のこと、ずっと思ってくれてたのに…。



なのに私、勝手にヤキモチ妬いて、拗ねて。



…唯兎くんに酷いことしちゃった」




視界が歪む。



ああもう、なんで泣いてるの。



めんどくさいやつになっちゃうじゃん…。




すると唯兎くんは、私のことをぎゅーっと抱きしめた。




「唯兎くん…?」





唯兎くんの、匂いだ。



女の子の匂いじゃない。




「僕の方こそごめん。果乃の気持ち全然考えれてなかった。



ほんとに、ごめん」




唯兎くんは私から少し体を離すと、親指で私の涙を拭った。




「ねぇ、キスしていい?」



「へっ?」




なんでそういう流れになった?



今のどこにそんなあれがあったの?
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