うそつき 2
1人なった私は辺りを見渡す。



それにしても大きな学校だよね。



1人で立ってると寂しく感じるぐらい。



周りの子はみんなお母さんとか、お父さんとかと一緒に来ていて。



ちょっとだけ、いいなぁと思う。



去年、いなくなっちゃったからなぁ。



美和さんは何回も「入学式行けなくてごめんね?」って言ってくれて。



謝ることじゃないのにね。




「果乃ちゃーん」


「あ、ユキちゃん!!」



後ろの遠いところから大きな声で呼んでくれるユキちゃん。


すぐ後ろから声をかけられると、怖いっていうのをわかっていてくれてるらしくて、遠いところから呼んでくれる。



去年、久しぶりに外に出た身としては何もかもが怖いんだけどね。



私はユキちゃんのところにパタパタと走って行く。





「果乃ちゃん、クラス表見に行こう。まだ行ってないでしょ?」



「うん。行く」




そう言って1年生の人だかりの方へ向かう。
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