カラフル

2日前の嘘




「ペンキの缶、超痛ぇ。」

ベッドの上で拓海が呟く。

「ごめんね?」

凪は拓海の顔を伺うように謝った。が、拓海が謝罪を求めたのは違う方向だった。

「いや、1番痛いのこの傷なんだけどなぁ?賢。」

保健室の角で小さくなっていた賢の肩がびくっ、と揺れた。

拓海が意識を取り戻した頃にはクラスメイト達も保健室にやってきていた。

拓海が真顔で指差したのは賢が殴った後である。

賢は拓海が凪を襲ったんじゃ!?と早とちりして資材室に飛び込むやいなや拓海の顔面を思い切り殴ったのだった。

おかげで拓海の額は赤く腫れている。

「ははは〜。ごめんね」

「後でメガマック。」

「今俺金欠なんだけど。」

「知らねぇ。メガマック。」

「…………金が…。」

「ふぅん。賢くんてお友達が痛くて痛くて仕方ないのに自分のお金を優先するんだ?
愛より金なんだ?
ふぅん。友達歴、更新するの今日で辞めようか。」

拓海の笑顔は本気だった。



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