カラフル



凪は急いで保健室から離れた。

「…………ちぇ。」

保健室に響いたその拓海の舌打ちを凪は知らない。










あー何で好きと気付いた瞬間こんな風になるんかなぁ?

凪は溜め息を吐く。

この前まで違う人が好きだったのに、私って軽い女?

んー、と考えていたらいつの間にか放課後になっていた。

あの後、拓海が賢を使ってあまり凪ばっかに頼るな、と言ったお陰で凪は少し看板を作れるようになっていた。

拓海はまだ大事をとって保健室で寝ている。

凪はお礼が言いたくても言えないままでいた。

拓海が進めてくれたお陰で看板はなんとか間に合いそうだ。

「あ、凪ちゃーん。」

クラスの女子がふいに話かけてきた。

顔だけそちらに向ける。

「何ー?」

「今日、保健室で何かあった?」

「へ?」

「いやぁ、2人きりだったじゃない?あの拓海だし、何かあったのかなーなんて。」



.
< 22 / 61 >

この作品をシェア

pagetop