カラフル
凪は急いで保健室から離れた。
「…………ちぇ。」
保健室に響いたその拓海の舌打ちを凪は知らない。
あー何で好きと気付いた瞬間こんな風になるんかなぁ?
凪は溜め息を吐く。
この前まで違う人が好きだったのに、私って軽い女?
んー、と考えていたらいつの間にか放課後になっていた。
あの後、拓海が賢を使ってあまり凪ばっかに頼るな、と言ったお陰で凪は少し看板を作れるようになっていた。
拓海はまだ大事をとって保健室で寝ている。
凪はお礼が言いたくても言えないままでいた。
拓海が進めてくれたお陰で看板はなんとか間に合いそうだ。
「あ、凪ちゃーん。」
クラスの女子がふいに話かけてきた。
顔だけそちらに向ける。
「何ー?」
「今日、保健室で何かあった?」
「へ?」
「いやぁ、2人きりだったじゃない?あの拓海だし、何かあったのかなーなんて。」
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