カラフル



途端に凪の動きが固くなる。

え、何、そこまで嫌なの?
うわー傷付く。

拓海は筆を取りかけた手を止めて看板を見つめた。



黒の縁取り、赤の文字、虹の背景、あぁ綺麗だ



「拓海くん?」

嫌いなまま、居づらい状況で耐えてくれてたのか。

気付かなくてごめんな。

自分の事ばっかでごめんな。


名前を呼んでも動かなかった拓海が凪の方を向いた。

そして凪にそっと近付いた。


無理して近くにいなくていい。

苦い顔をされるのは辛い。

だったら俺にもう2度と近付きたくないくらい嫌いになって。

遠くで笑ってて。


2人の唇が3秒くっついてゆっくり離れた。



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