カラフル
教室の前を通ると会話が聞こえてくる。
こういうのは聞きたくなくても耳に入ってしまうものだ。
「だーかーらー、嫌いだったらちゅーでもかましてやれよ。」
「そうそう。キスした後に笑顔で嫌い、とか言ってみ?
もう近付いてこないから。」
―――――え?
「えー、でも嫌いなやつとキスしたくねぇしさぁ。」
「ばっか。キスなんて一瞬じゃん?付き纏われるのは一生だぞ?
だったら一瞬をとるだろ。」
「そうそう。俺もやったら泣いて2度と近付いてこなかったぞ。」
「じゃあやってみようかなぁ。」
心臓が痛い。
待って、そんなのってあり?
じゃあ拓海君も……?
そんなわけ無い。
そんなこと無い。
誰か、否定して。
違うよって。
拓海君はそんな事しないよって。
誰か。
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