カラフル
当日の奇跡
拓海は2階の廊下を友人兼、下僕の賢と歩いていた。
本当は凪と一緒に回りたかったなぁ、とか考えながら。
「なぁなぁ、お前何かあっただろ?」
賢のそんな問いにも拓海は「別に……。」と冷たく答える。
まだ誰にも言いたくないのだ。
現実として、受け入れる事が出来ない。
例えそれが、自分が望んだ結果だとしても。
今だってほら。
目を閉じれば君がいて。
笑顔で俺の名前を呼ぶんだ。
―――「拓海くんっ!」
あーなんか現実的に聞こえてきた。
拓海はそう思いながら自分の頭を数回叩く。
「―――拓海くんっ!」
本気でやばいかもしれない。
幻聴だ。幻聴。
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