カラフル
凪の息が落ち着いた頃、凪は拓海を真っ直ぐ見た。
見られた拓海は何故か酷く緊張する。
数m先にいる筈なのに、近くで見つめられてる気分になる。
―――やめてくれ。
俺は君から、離れなきゃいけないんだ。
「拓海くん。私、私ね。」
凪はあの笑顔で。
「拓海くんの事、大好き―――っ!」
2階全体に響く程、大きな声で。
それは、夢みたいな事だけど夢じゃなくて、幻聴でもなかった。
周りが騒ぎ始めた頃に拓海は漸く凪の言葉が理解出来た。
でも、その時既に凪は後ろを向いて歩き出していた。
.