カラフル
別れよう、と言ったのは勿論凪の方。
あんな場面を見ても期待している自分が何処かにいて。
彼の「どうして?」「そんな事言うなよ。」なんて台詞を待っていたがそれは簡単に裏切られた。
「―――うん。分かった。」
あっさり受け入れ、凪の前から居なくなった。
それが昨日の出来事である。
昨日の今日で傷が癒えてるわけも無く、拓海の言葉は凪の心の傷にちりちりと痛みを走らせた。
「……それ、まじ?」
「うん。」
拓海は驚いた顔で凪を見ている。
「そんなにびっくり?」
「あ、や、ごめん。俺にも――……っ何でもない!」
拓海は何かを言い掛けて言うのを止めた。
顔が青いような赤いような。
「?」
「ごめんごめん。お似合いだったのに、とか思っただけ。」
拓海は白い歯を見せてにかっ、と笑った。