カラフル



拓海が隣で何かぶつぶつ言っている。

が、凪には全く聞こえなかった。

「……ありがと。」

胸の中にあった小さな黒い固まりは無くなっていった。

きっと拓海のお陰だろう。



「んー!今日はこの辺にして帰るか。」

拓海は背伸びしながら言った。

時間を見ると既に6時半を回っていて、他の教室の人達も少しずつ帰りはじめている。

「うん。そうだね。」

「あ、帰りながら失恋パーティーやろっか。奢るよ。」

拓海はペンキを教室の隅に置き、上着を手にとった。

「ほらほら!小室行くぞっ!」

いつの間にか教室の外にいた拓海は凪を急かした。

凪も拓海に合わせて急いで教室から出た。



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