幸せの種
「どうしてここに呼ばれたか解るか?」
「どうせうちが全部悪いんでしょ。はいはいすいませんでした~」
ミーナちゃんの態度の悪さに驚いた。
前はもう少し、素直だったと思うのだけれど。
「ミーナはもう、ここで生活することに限界を感じているのだろう」
「は? 何それ。うちのこと、またたらい回しにすんの?」
「ミーナに合った支援ができるところに行って、そこでもう一度傷を癒やしておいで。元気になってもしここに戻ってきたくなったら、また来るといい」
園長先生がそう言ったあと、間髪入れずにばしん、という大きな音が聞こえた。
机を両手で叩いたような音だった。
「もういい。好きにすれば。どうせうちなんか、いなくなればせいせいするって思ってるくせに」
「ミーナ、動くな!」
「ほっといてよ!」
中の様子がわからないけれど、何かがばたばたしている。
園長先生と山本先生が、二人がかりで声をかけて、それに対してミーナちゃんはわめくだけ。