幸せの種
「あんたたちのせいで、うちの人生ぼろぼろなんだけど! 堕ろしたくないって言ってんのに手術させられて! うちと琉の赤ちゃんを殺したのは園長だ!」
ミーナちゃんが泣きながら叫んでいるのがわかった。
「琉は無関係だ! 言いがかりをつけるのはよせ!」
山本先生がそれを否定した。
「ミーナ、琉には不可能だよ。それはミーナが一番よく解っているはずだろう?」
園長先生が諭しているけれど、ミーナちゃんはますます興奮しているような気配があった。
「ここには防犯カメラがあって、部屋を出入りする様子も全部録画されている。男子棟から女子棟には行けないし、窓から出ることも不可能だ。ミーナの相手は琉じゃない。先生達は琉の名誉を守る。早く目を覚ませ!」
「琉に会わせて! 琉じゃないとダメ! うちは琉がいればいい! 何で琉じゃないの? さわんな!! さわったらぶっ殺す!!」
ミーナちゃんがパニックになって暴れ出したのがわかる。
どうしよう。このままでは誰かがケガをしてしまう。
その時、穂香先生が玄関から入ってくるのが見えた。
わたしは穂香先生に叫んだ。
「ミーナちゃんがパニックになってる! 助けて!」と……。