幸せの種

三日後、児童相談所の職員と一緒に、千花が現れた。

一年ぶりに見た千花は、少し痩せているようだった。


――児相にいる間はちゃんと食べていたはず。

それ以前に何かあったのだろうと考え、一瞬表情を曇らせた。

しかし、目線を千花に合わせる頃にはすぐ笑顔を浮かべて、優しく語りかける。


「髙橋先生だよ。覚えているかな?」

「……うん。いっしょに、おえかきした」

「そうだったね。ちーちゃん、よく来たね」

「……はやくかえりたい」


それはそうだろうと思いつつも、手作りのカレンダーを見せながら彼女のショートステイの期間を伝える。


「お母さんが赤ちゃんを産んで、退院してからおうちに戻るよ。赤ちゃんが生まれてから、退院するまではここがちーちゃんの家」

「……ほんとのおうちに、かえりたいの。ママにあいたいの」

「会いたいね。ちーちゃんがママに早く会えるよう、髙橋先生も祈ってる」

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