幸せの種


琉君が大学一年の時、私は高校二年。

修学旅行で関東へ行った時、琉君が会いにきてくれた。


まさか会えるとは思わなかったから、思わずホテルのロビーで泣いていたところを、友達に見られてしまった。

ホテルでの自由時間は三十分しかなくて、ラウンジで一緒にコーヒーを飲むだけ。

それでも、ロビーからよく見えるラウンジにいる、背の高い琉君はとても目立つらしく。

普段、目立たないように生活している私には、親友と呼べるような友達もいなくて、みんなと当たり障りなく付き合っているのだけれど、その日の夜、一斉に問い詰められることに。


「さっきのイケメン、もしかして、遠距離の彼氏?」

「うん……」

「うわ~、いたんだね! 知らなかったよ」

「いつから、好きだったの?」

「いつから、だろう……?」

「覚えてない? もしかしてそんな昔からの付き合いなの?」

「うん。初めて会ったのは、小一の時だと思う」

「幼馴染なんだね~。すごい、漫画みたい!」

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