幸せの種


ちしま学園からこの高校へ進学した子はここ数年いなかったらしく、私が児童養護施設から通ってきていること自体、知らない子もいた。

修学旅行ということ、琉君に会えたということから、私のテンションも上がっていたのかも知れない。

今まで、学園のみんなにはずっと内緒にしていたし、中学校でも学園生がいっぱいいたから秘密だった。


普通の家庭の子と同じように、恋バナをしてみたい。

そんな気もちもあって、私は初めて自分から琉君のことを教えた。


「ずっとちしま学園で一緒に暮らしていて、色々助けてくれる優しい人だったの。私達には家族がいないから、お兄ちゃんだと思って頼ってたんだ」

「きゃー、ますます少女漫画みたい」

「それでそれで?」

「私が中一の時、告白された」


そう言ったら、みんな一斉にキャーキャー騒ぎ出した。


「こらー! 消灯時間過ぎてるんだから、騒がないのっ!」


保健の先生がドアを開けて注意しに来るほど、みんなノリノリで私の話に付き合ってくれている。


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