幸せの種
――藤島さん、凄いな。短期間でこれだけのことを考えられるとは。
まだ高校生に間違われるという童顔で小さな同僚を、陽平は今までと違った角度で見た。
対等なパートナーとして。そしてひとりの女性として。
「穂香先生ありがとう! これをみながらがんばるよ!」
「ちーちゃんはやればできる子! どうかそれを忘れないで。お母さんと赤ちゃんを大事にしてあげてね!」
「うん! ほのかせんせいもたかはしせんせいも、やればできるこ!」
無邪気に笑う千花を見て、穂香も陽平も顔を見合わせて笑った。
「ははは。先生達もそうか。じゃあ、ちーちゃん、髙橋先生は何を頑張ればいい?」
陽平の問いに、千花は首をかしげて考えた。
それから、ぱっと思いついたらしく、満面の笑みを浮かべてこう答えた。
「かのじょをみつけるの! だって、たかはしせんせい、ここにきてからずっとかのじょがいないんでしょ? コウにいちゃんがそういってたよ」
――航平の奴。たまに差し入れ持って来たと思ったら、余計なことを吹き込んでるのか。
困惑する陽平を見て、千花と穂香がきゃっきゃと笑っていた。