幸せの種
蕾~わたし~
青いカーテンが閉じられたままの部屋。
わたしと妹は、この部屋とトイレにだけ居ることが許されていた。
死なない程度の、わずかな食事が運ばれてくる。
「あーもう、めっちゃめんどくさいったら。ほら、ご飯だよ」
ママの妹、みさちゃんが音を立てて階段を上ってきた。
わたしはドアの前でびくびくしながら待つ。
「さっさと開けなさい。ホント、気の利かない子だね!」
「ご、ごめんなさい」
「早くっ……あああっ! 何してくれんのよ、このバカ!!」
急いでドアノブを開けたら、ちょうどそこにみさちゃんの持つトレーが当たり、落としてしまった。
ドアの向こうに、ぐちゃぐちゃになった夕食と恐ろしい形相のみさちゃんが見える。
「この役立たず! あんたなんか生まれてこなきゃ良かったのに!」
みさちゃんがわたしのトレーナーをぎゅっとつかんで引き寄せ、それから力いっぱい押してきた。
「きゃあっ!」
わたしは部屋の奥の壁まで突き飛ばされ、頭と背中を壁にぶつけた。
「自分で片づけなさいよ。あーあ、今日の晩御飯、せっかく持ってきてやったのに、食べられなかったね」