僕らのReLIVE
「——そっか…」
と、しおりがつぶやき
「たくみくんの投げてる姿かっこよかったよ。誰よりも多く投げて、打って、走って…たまに陸上部と走ってたりしてたね。そして、どの部活よりも遅く残って練習して…」
しおりの声が細くなっていた。僕はその声で顔を上げ、しおりを見た。
「——ひたむきに頑張るたくみくんがとてもかっこよかった。」
鼻をすすりながらしおりは僕を見て言った。
「だから…たくみくんが高校で野球するならずっとマネージャーでいたいの!」
僕はしおりが励ましてくれてるんだなと思った。
「ありがとう、しおりさん。僕、必ず視力取り戻してまた高校でも——」
「おーい、たくみー!しおりー!なーにやってんの?」
かずやがベンチの後ろから話しかけてきた。校庭から校舎に通って裏から周ってきたのだろう。
「かずには関係ないでしょ!」
まぶたを腫らしていたしおりがかずやに強く言い返した。
しおりの顔を見たかずやが
「たくみ、しおりを泣かせたのか」
たしかに僕はしおりを泣かせてしまったから、何を言えばわからず黙ってた。
「違うの!勝手にわたしが泣いたの!」
かずやはしおりの言葉に聞く耳を持たず
「女の子泣かすなんてサイテーじゃねぇか」
と、かずやは吐き捨てて部室へと歩いていった。
「おーい、どうしたんだよ」
キャッチボールをしていた残りの3年生たちが寄ってきた。
しおりは顔が見えないように下を向いてベンチから立ち上がり部室と反対の校舎へと走っていった。
僕はわけもわからぬままベンチに座っていた。
残りの3年生たちはキャッチボール中にファミレスでご飯の約束を決めていた。僕は、用事があるからとみんなとの誘いを断った。現状が理解できず気まずいと思ったからだ。
——それから僕は終業式まで野球部のみんなと話すことはなかった。