羊だって、変るんです。
その2
朝7時に杏奈が凱の部屋を訪れると、まだ部屋の中は静まり返っていた。

コーヒーメーカーの位置と使い方をマスターした杏奈は、早速コーヒーの準備に取り掛かる。

コンビにで買ったデニッシュパンとサンドイッチ、おにぎり等結構な種類と量の朝食を、出来るだけ音を立てずにテーブルに並べていく。

『やっぱり、料理の一つも出来ないとダメだな』

テーブルの上の朝食を眺めため息が漏れる。

『仕事が忙しい凱の為に夕食が作れたらどれだけ助かるか・・やっぱりお母さんに料理教わろう』

母は料理を作る事を強制した事は無かった。

世の中の親は「女の子なら料理くらい出来ないと嫁に行けないわよ」と言うらしいが、母はそういう事は一切言わなかった。
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