羊だって、変るんです。
― 何でって聞いたら、最近は料理できなくても生きて行けるでしょ ―

と笑っていた。

確かに最近はコンビニで何でも揃う世の中になったし、スーパーでもお弁当が充実している。

面倒な煮魚や煮物だって、一人用から売っているので、料理が出来なくても問題なかった。

それでも、今は料理が出来た方がいいと思える。

お気に入りの窓際の椅子に座って、窓の外を見ながらそんな事を思い出していると、凱が起きて来た。



「おはよう!」

「!・・おはよう。杏奈。早いね」

居るとは思って居なかった杏奈に、一瞬驚いた様子だったが、何時も通りの柔らかい笑みを返してくれた。

「朝ごはん買ってきたから、食べられそうなら食べて」

「うん。ありがとう。顔洗ってくる」

凱が顔を洗っている間に、コーヒーの準備をする。
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