羊だって、変るんです。

「それで、今日の事だけど、仕事何時に終わる?」

「ここに帰ってくるからいいよ」

「折角機会が出来たんだから、私にあの車運転させてよ」

まだ渋る凱に最後の手段、『上目遣いのお願い攻撃!』をしてみる。

「・・・分かった。でも、何時になるか分からないから、終わったら電話するよ」

「分かった」

『まさか、上目遣いが効くなんて・・・そんな訳無いか』

苦笑しつつ了解が得られた事を嬉しく思う。

やっと話も纏まり、朝食後出勤準備も終わり、部屋を出ようとする凱を呼び止めた。

「今日泊まる事になったから、勝手に洋服鞄に詰めておくね」

「!?え?杏奈・・ちょっと待って、勝手にクローゼット開けないで!」

見る間に慌てていく凱に、不思議そうに首を傾げる杏奈。

「何で?」
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