羊だって、変るんです。

「後、二人の部屋は一階の奥の客間を使ってちょうだい。ご飯出来てるから荷物置いていらっしゃい」

「ありがとう!助かる!行こう!凱」

慌てた様子で靴を脱いで、凱を急かせる様にグイグイと手を引いて進む姿は、手のかかる犬のがリードを目一杯引っ張って走る様に似ている。

「本当に落ち着きの無い子で苦労するでしょ」

凱の後姿に向って声をかけると、振り返って微笑みながら「いえ、楽しいです」と答える。

杏奈に引きずられるように奥に消える凱の背中を、綾子は微笑ましく眺めていた。
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