羊だって、変るんです。
母に苦笑される

「うーん何でだろう?胴着は体が覚えてるんだけど」

そう言ってひょいひょいと右下左上と手を動かす。

「変な子ね」

クスクスと笑いながら凱の帯を締め終わり、満足そうに少し離れて全体を見た。

「凱君も背が高くて、恰幅が良いから浴衣よく似合うわ」

「ホントだね。あ、私写メ撮ってもいい?」

そう言ってスマホを取りに部屋を飛び出していく。

「じっとしてないわね」

「いつも元気を分けてもらってます」

凱の言葉に綾子が顔を向けると、柔らかく笑った凱が居た。
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