羊だって、変るんです。
「杏奈もお父さんみたいな人を選んだのね」
柔らかい印象に変った凱を見て、綾子がそういうと、蔵人が嬉しそうな顔をした。
「僕に似たタイプを選ぶなんて嬉しいね」
「あ~雰囲気だけね。中身はお父さんよりもっと良いから」
サラリと言ってのけた杏奈に凱は驚き、蔵人と綾子が絶句した。
「お父さんが世界で一番素敵だっていう事は、私だけが知ってたらいいでしょ」
落ち込んでいる蔵人の頬にキスをしながら綾子がそういうと、一瞬にして蔵人が元気になった。
「綾子さん」
抱きしめあう二人に凱が目を見張る。
「あ~凱、二人の世界に入ったから放っておいて」
何時もの光景に苦笑しつつ、立ち上がる。