羊だって、変るんです。

「私これからお風呂に入るから、凱は私の部屋で待ってて」

そう言って手を差し伸べ、凱を立たせるとさっさと居間を後にした。

「杏奈の部屋って?」

「あぁ、えとねぇ向かいの二階が子供部屋なの。玄関の上が長男紫苑の部屋で、その隣が次男の怜苑、その隣が私の部屋なの」

「階段ってあった?」

廊下から二階を指して部屋の説明をする杏奈に凱が質問する。

「あぁ、階段に扉が付いてるの。こっちこっち!」

廊下を歩いて仏間と客間の間にある板戸を教える。

「これ?」

「うん。ほら仏間から一旦廊下に出て客間に入ったでしょ」

来た時のルートを思い出したが、凱の中では部屋は壁で区切られているもので、続いている感覚が無かったので気にならなかった。
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