羊だって、変るんです。
『杏奈が気付いてなくて良かった』
胸糞悪い言葉の数々に、凱の表情が無くなっていく。
「なぁ声かけろって!」
「誰に声をかけるんだ?」
まだ濡れていた髪を無造作にかき上げ、いつも以上に威圧的なオーラを撒き散らして声をかける。
「え・・だ・・れ?」
「名乗る程でも無いが、杏奈の婚約者だ」
「「「!?」」」
その場に居た男たちが一斉に言葉を無くす。
「で、誰に声をかけるんだ?」
一歩踏み出し男たちに近づくが、その分威圧感が更に増し、男たちは一歩下がる。