羊だって、変るんです。
「杏奈。僕と結婚を前提に付き合って下さい」
仕事用に前髪を後ろに流した凱が、二人の時に見せる柔らかい笑みでそう言った瞬間、杏奈の涙腺は崩壊してしまった。
止まる事の無い涙を流す杏奈をソファーに座らせ、凱の胸に抱きしめて落ち着くのを待ってくれた。
「ホントに私でいいの?」
やっと涙が止まった杏奈が凱を見上げてそう言った。
「じゃぁ逆に言うけど、杏奈は僕で良い?」
「凱がいい。凱じゃ無いとダ・・」
最後まで言う前に凱の口で口を塞がれてしまった。